研究内容

 専門分野は、認知科学・認知心理学・意思決定科学です。研究としては、判断や意思決定研究を中心に行っています(Judgment and Decision Makingを略してJDM研究とよく呼んでいます)。研究手法は行動実験が中心ですが、近年は計算機シミュレーション、フィールド実験、またビッグデータの分析にも取り組んでいます。

 具体的なトピックとしては、様々なトピックに取り組んでいますが、近年重点を置いて研究を行っているのは以下のトピックです。

ヒューリスティック研究
 人間は様々な経験則を持っています。例えば、ランチ時に非常に混んでいるレストランは例え一度も入ったことがない場合でも、「ここのランチは美味しいに違いない」と推測し、逆にガラガラのレストランは「美味しくないのだろう」と推測します。このような推測は本当に正しいかは分かりませんが(すごく混んでいる店のランチが美味しいとは限りません。逆にガラガラのレストランのランチが美味しいともあります。)、単純な推論から我々は外界のことを適切に判断していることが一般的に知られています。
 人間が用いているヒューリスティックに関して、心理・認知プロセスの分析、ヒューリスティックが持つ適応的性質、また集団意思決定に代表 されるような社会的意思決定に対して個々が用いるヒューリスティックが与える影響、これらの問題について研究を行っています。

主な成果
  • 藤崎樹・本田秀仁・植田一博. (2017). ヒューリスティックの集合知:集団意思決定の視点に基づく適応性の理論的分析. 認知科学, 24(3), 284-299.
    doi:10.11225/jcss.24.284 (link)

  • 白砂大・松香敏彦・本田秀仁・植田一博. (2017). なじみ深さのマッチング:認知プロセスと生態学的合理性の実験的検討. 認知科学, 24(3), 328-343.
    doi:10.11225/jcss.24.328 (link)

  • Honda, H., Matsuka, T., & Ueda, K. (2017). Memory-based simple heuristics as attribute substitution: Competitive tests of binary choice inference models. Cognitive Science, 41(S5), 1093-1118. doi: 10.1111/cogs.12395 (link)

  • Shirasuna, M., Honda, H., Matsuka, T., & Ueda, K. (2017). Familiarity-matching in decision making: Experimental studies on cognitive processes and analyses of its ecological rationality. In G. Gunzelmann, A. Howes, T. Tenbrink, & E. J. Davelaar (Eds.), Proceedings of the 39th Annual Conference of the Cognitive Science Society (pp. 3143-3148). Austin, TX: Cognitive Science Society. (link)

  • Honda, H., Abe, K., Matsuka, T., & Yamagishi, K. (2011). The role of familiarity in binary choice inferences. Memory and Cognition, 39 (5), 851-863.
    doi:10.3758/s13421-010-0057-9 (link)

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コミュニケーション行動と意思決定をつなぐ認知的基盤の解明
 論理的に全く同じ情報であったも表現の違いによって全く異なる意思決定に至るフレーミング効果 (Tversky & Kahneman, 1981, Science) という現象があります。この現象は、ちょっとしたフレーズの違いに私たちの意思決定が引きずられていることを端的に示す例、特に私たちが示す非合理的な意思決定の例として有名です。一方、逆を返せば、私たちはちょっとしたフレーズの違いを意思決定時に考慮しているとも言えます。これは、話者があるフレーズを使用したコミュニケーション上の意図を意思決定者である聞き手は読みっていることを意味しているのかも知れません。
 このように、コミュニケーション行動と意思決定は一見すると全く関連がないようにも思えますが、私たちの意思決定において情報の伝え手である話者と、情報を聞いて意思決定を行う聞き手間のコミュニケーションという視点で見ると、両者は密接に関連している可能性があります。
 そこで、コミュニケーショ行動(話者はどのような会話規則を持っているのか)からの決定行動の分析、コミュニケーションの視点から見る決定バイアスが持つ適応的性質、また非言語行動が意思決定に与える影響、これらをキーワードとして、コミュニケーション行動と意思決定をつなぐ認知的基盤について研究を行っています。

主な成果
  • 本田秀仁・松井哲也・大本義正・植田一博. (2018). 旅行相談場面の販売員-顧客間のインタラクション:販売員のスキルの違いに見る心的状態の推定と非言語行動の分析. 電子情報通信学会論文誌D, 101-D(2), 275-283. doi:10.14923/transinfj.2017HAP0005 (link)

  • Honda, H., & Yamagishi, K. (2017). Communicative functions of directional verbal probabilities: Speaker’s choice, listener’s inference, and reference points. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 70(10), 2141-2158. doi: 10.1080/17470218.2016.1225779 (link)

  • Honda, H., Matsuka, T., & Ueda, K. (2017). Decisions based on verbal probabilities: Decision bias or decision by belief sampling? In G. Gunzelmann, A. Howes, T. Tenbrink, & E. J. Davelaar (Eds.), Proceedings of the 39th Annual Conference of the Cognitive Science Society (pp. 557-562). Austin, TX: Cognitive Science Society. (link)

  • Honda, H., & Matsuka, T. (2014). On the role of rarity information in speaker's choice of frame. Memory and Cognition, 42(5), 768-779. doi:10.3758/s13421-014-0399-9 (link)

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効率的な認知プロセスを引き出す思考方法・情報提示アーキテクチャーに関する研究
 JDM研究が明らかにしてきたように、人間の思考プロセスには様々なバイアスが存在します。バイアスは人間の思考の"クセ"です。このような"クセ"は私たちが日常生活を効率的に生きて行く上で適応的に機能することが多いことが知られていますが、場合によっては負の影響ももたらします。
 この負の影響を減らすためには、どのようにしたらよいでしょうか?1つの方法は、思考自体を修正し、"クセ"を正そうとする、いわば王道的なアプローチです。もう1つの方法は、そもそもそのような"クセ"という名の落とし穴に人間を陥らないようにさせる、という方法も考えられます。
 このような考えのもと、創造的思考を生み出すための支援法、集合知の考え方に基づいたより正確な判断や推定を生み出す方法の提案、またわずかな情報提示法の違いによる異なる思考プロセスの導出法に関する研究を進めています。

主な成果
  • Honda, H., Fujisaki, I., Matsuka, T., & Ueda, K. (accepted). Typicality or fluency? A Comparison of two hypotheses about cognitive effects of Japanese script. Experimental Psychology.

  • Honda, H., Washida, Y., Sudo, A., Wajima, Y., Awata, K., & Ueda, K. (2017). The difference in foresight using the scanning method between experts and non-experts. Technological Forecasting and Social Change, 199, 18-26. doi: 10.1016/j.techfore.2017.03.005 (link)

  • Fujisaki, I., Honda, H., & Ueda, K. (2017). On an effective and efficient method for exploiting "wisdom of crowds in one mind". In G. Gunzelmann, A. Howes, T. Tenbrink, & E. J. Davelaar (Eds.), Proceedings of the 39th Annual Conference of the Cognitive Science Society (pp. 2043-2048). Austin, TX: Cognitive Science Society. (link)

  • Honda, H., Ogawa, M., Murakoshi, T., Masuda, T., Utsumi, K., Park, S., Kimura, A., Nei, D., & Wada, Y. (2015). Effect of visual aids and individual differences of cognitive traits in judgments on food safety. Food Policy, 55, 33-40. doi:10.1016/j.foodpol.2015.05.010 (link)
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